紙を通じて森羅万象とつながる。
紙宮の結界の中は、胎内のようでもあり、宇宙のようでもある。
ミクロとマクロの焦点を自在に行き来し、無限の循環の中に身を委ねる。
紙が天地のエネルギーを流す脈のように存在し、
私たちの内側の"浄化と祈りの場"に導く。
森田がここに現出させる紙の世界は、人智や作為を超えて、
紙そのものの素の本質を映し出す、稀有なものになるだろう。
森田は、自然とともにいて、楮を育て、刈り取り、蒸して、繊維を取り出し、
一つ一つ型を描き、浄らかな水を通して、紙を作り出す。
気の遠くなる工程全てを手仕事で、来る年も来る年も、黙々と。
現代にこの作業を行う意味を問えば、決して用途のためだけでないのは明らかだ。
「紙宮」という言葉の中に、その一つの答えがあると直感した。
日本では、白く浄らかな紙が
神聖な世界と現世の境界を示し、祓い浄めるものとして使われてきた。
この地、飯山でも古くから和紙の技術が伝えられ、守られている。
今、紙に宿る霊性を再発見し、
未来につなげる時間を共有したいと思います。
小沼訓子
紙宮|かみぐう
長野県飯山市 日本|Iiyama Nagano, Japan
2022.9.3−11.20
2022年9月3日(土)-11月20日(日)
和紙作家 森田千晶 展
飯山市美術館
長野県飯山市大字飯山1436番地1
TEL/FAX 0269-62-1501
交通:北陸新幹線飯山駅下車徒歩約10分
※新幹線で東京駅から飯山駅まで最速1時間40分/長野駅から12分
キュレーション| 小沼訓子(株式会社 組む/株式会社中川ケミカル)
空間構成| 松本直也(松本直也デザイン)
照明デザイン| 山下裕子(Y2 LIGHTING DESIGN Co.,Ltd.)
映像・写真| 近藤義展(TOKIIRO)
空間音楽| 鶴田聖子
グラフィックデザイン| 湯浅哲也(colonbooks)
協力| 株式会社中川ケミカル
作品制作協力| 飯山和紙研究会
主催| 飯山市教育委員会